企業の経営理念の作り方とその手順

社長には、会社の未来は見えているもの。

しかし、現場で働く部下にはその未来は見えていない、そんな状況が日本中の中小企業で見られます。

皆が同じ方向性を向くために必要なもの、それが経営理念です。

でも、経営理念ってどのように作ればいいのか、悩んでしまう社長も多いはず。

今回は、経営理念の作り方とその手順について解説していきます。

「経営理念はなぜ必要か」

経営理念は、どのような立場、考え方、気持ちで企業活動を行うのか、基本的な方針を示すものです。

創業当時の初心を大事にし、その中で発展性を遂げ、社会貢献を行っていくため、忘れてはならない方針として定めます。

理念がなければ、その時々でブレを生じさせ、社員を混乱させるだけでなく、経営者と重役の間でも考え方に違いが生じるでしょう。

経営理念を作ることは、企業活動に一本の筋を入れ、ブレない方向性を定めることにつながり、必要不可欠です。

「経営理念の作り方」

では、経営理念はどんな形で作っていけばいいのでしょうか。

経営理念は、以下の4つの段階を経て作成していくことが大切です。

1.最終的に成し遂げたいことを決める

2.声なき声の気持ちを知る

3.同業他社の経営理念を片っ端からリサーチ

4.どの言語でも理解できるものにする

ここからは、この4項目について順を追って解説します。

 

1.最終的に成し遂げたいことを決める

人間はゴールがあるから頑張れます。

ゴールがなければ、頑張りたくても頑張れないものです。

そのため、企業活動を通じて最終的にどんなことを成し遂げたいか、ゴールを決めておかないと方向性を定めることはできません。

成し遂げたいことを1つだけに絞る必要はなく、思いつくものをとにかく書き出すことが大切です。

できるだけ多くの社員を巻き込んで、どこを目指すべきか話し合うことで、現場の社員が考えること、上層部と現場の共通認識と異なる認識などを知ることができます。

 

2.声なき声の気持ちを知る

経営理念は、ある種自分たちの理想郷作りに向けた1つの大きな方針ですが、自分たちが思っていた理想郷は、顧客や消費者が思っている理想郷ではないことが見られます。

企業活動を通じて社会貢献をしたい、それを実現させるには、声なき声、「誰も口にはしないけど心の中では思っている願望」を知らないといけません。

皆さんは「ジョハリの窓」をご存知ですか?

「ジョハリの窓」とは、自己理解を深めるための概念です。

自分が知る特性、知らない特性、他人が知っている特性、知らない特性を、4つの窓で表現しています。

自分たちはこれが強みだと思っていても、他人が知らないと「秘密の窓」に、自分たちは知らないけど他人が知っているとなれば「盲点の窓」になります。

「秘密の窓」は企業の強みが顧客や消費者に伝わっていない状態、「盲点の窓」は自己理解の欠落と言えます。一方で、自分も他人も気づいていないものは「未知の窓」とされ、挑戦していく上で重要なポイントです。

これらを埋めるために、顧客や消費者に対してアンケートを行う、社員の家族から聞き取り調査を行うなど、とにかく声を拾うこと。

そこまでしてようやく筋の入った経営理念につながります。

 

3.同業他社の経営理念を片っ端からリサーチ

経営理念として形にするにあたって、同業他社では、どのような言葉を用いて経営理念を作っているのか、前もって知らなければなりません。

言葉が似て、別の企業の経営理念をコピーしたかのような状態になったら、せっかくの苦労が水の泡。

ですので、同業他社の経営理念を最低でも数十社リサーチしましょう。

気を付けたいのは、経営理念を作成するにあたり、いきなりここから手を付けないようにすることです。

どんな企業を目指したいかという方向性を定めないまま、いいものを真似ても中身が伴いません。

自分たちを知り、世間の声を最大限吸収した状態から、リサーチすれば、よりいいものを見つけられ、オリジナリティあふれる経営理念につなげられます。

 

4.どの言語でも理解できるものにする

良くない経営理念というものが世の中には存在します。

それは、「何を書いているか分からない」経営理念です。カタカナの言葉ばかりを並べ、一見すると知見にあふれたものに見えても、結局何が言いたいか分からないものが実に多いです。

理想としては、英語、フランス語、中国語、韓国語など、どのような言語に翻訳しても、素晴らしい経営理念だと思ってもらえるものです。

日本人さえ納得すればいいというスタンスでは、当然海外の人は分かってもらえませんし、日本人ですら疑問を持つものになります。

できるだけシンプルに、幼稚にならない程度に簡単な言葉を用いる、これが大切です。

「経営理念の浸透のさせ方」

とてもいい経営理念を作っても、それを現場の社員が知らなければ意味がありません。

どのように、浸透させるか、ここが大きなポイントです。

例えば、朝礼や会議の前にみんなで声に出して読み上げるというもの。

理想は毎日のように声に出すことですが、逆にそこまでしないとなかなか覚えてくれません。

とある中小企業では、テスト形式にして会議の際に経営理念などを答えさせるケースもあります。

間違えれば一大事とあって、必死に覚えようとします。

浸透させて定着させるには、案外時間がかかります。

「まとめ」

今回は経営理念の作成などを解説しました。

ポイントをまとめると以下のとおりです。

・経営理念を作るために、まずは成し遂げたいことを書き出す。

・多くの社員と、成し遂げたいことなどを話し合う。

・第三者の声を集め、強みや弱みを知る。

・同業他社の経営理念を数十社調べる。

・どの言語に翻訳しても、素晴らしい経営理念と思ってもらえるものにする。

・毎日でも声に出させるなど、時間をかけて浸透と定着を図る。

これらのことを踏まえて、誰に対しても胸を張って示せる経営理念が作成できたら、最高ですね。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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