以前紹介したソフトバンクのプレゼン資料は非常に大きな反響がありました。その具体的な戦略もさることながら、プレゼン資料もインパクトがあって分かりやすい。
他にも面白いプレゼン資料が無いか探していると、「ソフトバンク 新30年ビジョン」なるものが。
創業30年の節目を迎えたソフトバンクグループが次の30年に何を見据えるかまとめた資料で、2010年の定時株主総会にて発表されました。2010年にソフトバンクはどんな未来を描いていたのかに迫ります。
新30年ビジョンの内容
要約
今回の情報元となっているのは、2010年の株主総会で発表された新30年ビジョン。気になる方はコチラから見ることが出来ます。
私が全135ページにわたる本プレゼン資料。そのボリュームからも以下に未来のビジョン実現に向けて本気に取り組んでいるかが伝わってきます。私の主観ではありますが、ざっくり内容を要約すると以下の3点です。
1.理念は情報革命で人々の幸せに貢献する
2.ビジョンは「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」の実現
3.戦略はビジョンの忠実な実行。「事をなす」ことで、ビジョンが実現される
上記3つの内容についてそれぞれ見ていきたいと思います。
1.理念は情報革命で人々の幸せに貢献する
ソフトバンクはTwitter上で2つのアンケートを取りました。一つは「人生で最も悲しいことは何だろう?」というもの。結果は以下の通り。
もう一つは、「人生で最も幸せを感じることは何だろう?」という問い。結果は以下の通りです。
ソフトバンクは一人でも多く悲しみを感じる人を減らし、幸せを感じる人を増やすことを目指しており、それを何によって目指すか?その答えが理念である情報革命で人々の幸せに貢献するなのです。
2.ビジョンは「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」の実現
では、具体的にどんなビジョンを描いているのか?その説明スライドは多岐にわたります。その中でも下記スライドは非常にインパクトがありました。
300年単位で語るビジョン。こんなことを本気で言える経営者がどれだけ言えるでしょうか。
次の30年は一里塚の言葉にある通り、以下に孫さんが大きな未来を見据えながら真剣にそのビジョンの実現に取り組んでいるかが分かります。
こんな社会を実現したい、こんな世界を実現したい、そう語る経営者は沢山いると思います。ただ、それを実現するなら自分の代だけでは中々実現が難しいでしょう。見えている視点の高さと広さにはただただ脱帽です。
そんな未来を見据えるために過去から学ぶ必要がある、と本資料では語られています。300年前では一般庶民の平均年齢は33歳、貴族ですら39年という時代。一方300年後には人類の平均寿命は200歳を越えると予測しています。
機械に対する捉え方も300年前では大きく異なります。機械が人間の職を奪うことに対して不満や恐怖を感じた人々が「ラッダイト運動」なるものを起こしたこともあったとか。
現代では、私たちの生活に機械は切っても切り離せない存在になりましたよね。そんな変化があったように300年後ではさらなる革命が起きると予測しています。
重点的に説明されているのは新しいコンピューターの在り方。それは、知識の集積と知恵を習得する脳型コンピューターの誕生です。かつ、それが高い次元の感情も持っている。
そんなコンピューターの存在を許してよいのか、人間がコントロールできなくなるという議論は重ねていくことになるが、ソフトバンクとしてはそれも含めて必要な存在になっていくと語っています。
3.戦略はビジョンの忠実な実行。「事をなす」ことで、ビジョンが実現される
ビジョンを実現するために孫さんが重要視しているのは下記。
具体的には30年後の目標数値を以下に定めています。
事業領域としては、情報産業から脱却はしないが、特定のテクノロジーやビジネスモデルにはこだわらないと書かれてあります。
「孫 正義は何を発明したか」と問われたら、「300年間成長し続ける構造を発明した」と答えたいと思っています。
これはHP上にある孫さんの言葉です。その為には会社が進化し続ける構造が必要と考えており、その答えが戦略的シナジーグループ。
出資比率20%から40%の緩やかな資本提携で、志を共にする集団を作る。そういうパートナー戦略で、組織構造を30年以内に5,000社規模に拡大したいと考えています。
どこまでも緻密で具体的。現代でソフトバンクという企業の成長過程を見れる私たちはとてもラッキーなのかもしれません。
まとめ
ここまでをまとめると、
1.理念は情報革命で人々の幸せに貢献する
2.ビジョンは「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」の実現
3.戦略はビジョンの忠実な実行。「事をなす」ことで、ビジョンが実現される
です。より具体的には、
1.一人でも多く悲しむ人を減らし、幸せを感じる人を増やす。
2.30年後に時価総額200兆円規模、世界トップ10を目指す
3.組織構造を30年以内に5,000社規模に拡大したい
ということでした。世界に挑戦し、夢の実現に向かって突き進む姿はメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手の様。これからもソフトバンクの動向を追っていけたらと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。