芸能人や著名人が“炎上”したニュースは後を絶たない。最近で言えば、 愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」は大炎上し、結果同企画展は中止となった。
監督を務めたジャーナリストの津田大介氏には日本や政治に対しての冒涜だと批判が集中した。ただし、一定の規模で炎上が起こることは予想がついていたはずだ。
世の中には炎上マーケティングなる商法が存在する。若い世代に非常に人気のあるYouTuber、レぺゼン地球のDJ社長も大掛かりな炎上マーケティングを仕掛けた内の一人。
2019年9月に行われるドームライブに向けた集客として炎上マーケティングを行ったのだが、結果としてはドーム公演が中止に追い込まれる事態になってしまった。その一連のプロセスと感想をまとめた。
DJ社長が起こした炎上マーケティングとは?
ざっくりとした概要
今回の一連騒動をまとめると以下のような流れになる。
DJ社長を中心としたDJグループ「レぺゼン地球」がドーム公演の実現のため、YouTubeの活動を一時休止する
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DJ社長が経営する事務所に所属する女性タレント「ジャスミン」が、同社長からセクハラ・パワハラ被害を受けたとTwitter上で告発、ツイートは大炎上した
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後に、DJ社長がその罪を認め、頭を丸刈りにして謝罪動画をYouTubeにアップ
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セクハラ・パワハラ被害を受けたとされたジャスミンが、一連の騒動は全て嘘だったとツイート
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同時に、日本のロックバンド、マキシマム ザ ホルモンとコラボした新曲「パワハラザホルモン」をリリース。ミュージックビデオも同時に公開。ジャスミンの新曲も同時期に公開
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レぺゼン地球やジャスミンの炎上で終わらず、ミュージックビデオに出演したマキシマム ザ ホルモンにも批判が殺到。公式HPで謝罪文を掲載する事態に
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9月7日、8日に予定していたドーム公演が関係各所との打ち合わせの結果中止にしたとレぺゼン地球上のHPで発表
というものだ。一連の騒動は様々な記事でもまとめられているので細かい経緯が知りたい方はご自身で調べてみて欲しい。
何が“炎上”したのか?
この一連の騒動において、炎上した対象者と批判内容をまとめると以下のようになる。
DJ社長(レぺゼン地球):一連の騒動の仕掛け人。ファンに対する裏切りだとして炎上
ジャスミンゆま:真剣に心配してくれたパワハラ・セクハラ被害者に対する侮辱だとして炎上
マキシマム ザ ホルモン:こんな炎上マーケティングに加担する人たちだと思わなかった、として炎上
炎上マーケティングの効果は?
では、この一連騒動による効果はどうだったのか?数字や事実として分かるものだけピックアップしてみた。
パワハラ謝罪動画:約200万再生
ネタバレ動画:約250万再生
ジャスミン新曲動画:約10万再生
レペゼン地球登録者数:約1万人増加
ジャスミンインスタフォロワー:約1万人増加
レペゼン地球ドーム公演:中止
炎上系YouTuberシバターによる考察
レペゼン地球は今までにも過激な動画を多数アップロードしており、アカウントがBAN(凍結)されたこともあったほど。同じく炎上系YouTuberとして人気を集めたシバターがこの炎上マーケティングについて解説をしているので見て欲しい。
シバターが言っていることを要約すると以下の通り。
・炎上マーケティングは、小銭稼ぎをする目的でやるなら効果があるが、長続きしない
・コンテンツとして成熟しきっているレペゼン地球が自分のファンを少なくする行為はマイナスでしかない
・炎上マーケティングは、売名期に行うことで効果を発揮するもの
・自分の名前を一時的に広げて、興味のある人を集めるには適しているが、今回のような嫌な炎上の仕方は×
・つまり、成熟しきったコンテンツにおいては炎上する必要が無い
・DJ社長は自分の立ち位置や影響力、ファンのことを理解しきれていなかった
個人的な考察
僕自身は、レペゼン地球の動画を比較的見ていたので、ドーム公演のためYouTube上での活動休止の発表を受け、応援したい気持ちを持っていた。
一連の騒動が集客のための嘘だったと分かった時は正直言って「やられた」と思った。世間の注目がレペゼン地球にぐっと集まっていたことが一視聴者としてもはっきりと感じていたからだ。
ただ、ずっとDJ社長の夢であったドーム公演が中止となってしまったということが全ての結果。ドーム公演を実現するという目的を、炎上マーケティングという手段で行ったことについては結果だけ見れば失敗だったと言わざるを得ない。
一方、さらにレペゼン地球のことが好きになったファンがいるのもまた事実。刺激的なニュースを届けてくれるレペゼン地球に「次は何を仕掛けてくるんだろう?」とワクワクしている人たちがいることは間違いない。
しかし、“信用”を失ってしまったという点では非常に大きなマイナスだったと思う。YouTubeというコンテンツ内でのコミュニティやファン、YouTuber同士の中ではこれからも活躍し続け色んな価値を提供していくと思う。
では、YouTubeの領域を出て社会や企業と繋がっていく際、彼らを信用し、信頼してくれる人はどれだけいるのか。
彼らの活動に協力するパートナーの目線で考えれば、下手に絡んだら自分たちの足元をすくわれる、怖くて関わりを持ちたくない、と思われても仕方がない。
ただ、レペゼン地球やDJ社長が最終的に何を目指しているかにもよる。彼らは彼らで全力で毎日を生きているようにも見える。
そんなレペゼン地球の今後の動向に注目をしたい自分がいるのも確か。こうして記事を書いている時点で、僕もDJ社長の戦略にまんまとはまっている一人なのだから。
まとめ
ここまでを改めてまとめると、
・一連の騒動でファンだけでなく、今まで存在を知らなかった人の注目も一気に集めた
・狙い通り炎上したが、その炎上の大きさが予想をはるかに超える大きさに
・結果として、炎上マーケティングの目的だったドーム公演は中止に追い込まれた
・炎上マーケティングは、売名期に効果がある。成熟したコンテンツで炎上する必要はない
・注目と引き換えに信用を失った代償は大きい
となった。これだけの世間の注目を集め、人を動かす影響力を持っているという意味では素直に凄いと思っている。僕自身はまだ社会的な影響力が皆無に等しい。
炎上せずとも注目を集めれるだけの事業やサービスを提供し、影響力がある経営者になれたならと思うこの頃です。最後までお読みいただきありがとうございました。