パワハラで人は成長できないが、安定した生活はできると思ったワケ

単刀直入にお伺いします。パワハラを受けたことはありますか?私は学校でも職場でも経験しました。

といっても、人によってパワハラの感じ方は違っていて、私がパワハラだと感じたことが単なる指導であり、「それがパワハラになるんじゃ誰も指導できなくなるよ」と嘆く人もいるはず。

具体的な数値として出せないものはすべて抽象的なものなので、パワハラ問題は結局のところ他人に委ねられます。でもそれって、「熱量を使う割に十分な効果が得られないじゃん」、私はそう考えます。

熱血指導ってDVと何が違うの?

ドキュメンタリー番組でその道のプロに密着取材をすることがありますが、その際に、部下や教え子を怒鳴りつけてプロ意識が低いようなことをまくし立てるシーンをよく目にします。

悔し涙を流しながら懸命に食らいつき、結果を出して褒められて嬉し涙を流す。よくあるドキュメンタリーの構成であり、多くの人はそれに感動を覚えるわけです。

私が毎回思うのが、「それDVと何が違うの?」ということ。DVは、気に入らないことがあれば殴りつけ、たまに優しさや弱さをさらけ出して守ってあげたいと思わせるやり方。

気に入らないことがあれば怒鳴りつけ、ちょっと褒められればこの人についていこうと思わせる、それが熱血指導であり、言い換えればパワハラなわけです。

暴言と暴力で2つの「ジリツ」は成り立つと本気で思っているの?

高校野球、高校サッカーなど、毎年のように体罰、パワハラを行う監督の報道が出てきます。昔からそのような体質があることは把握してますが、今後も絶えることはないでしょう。

先日、ゴルフの全英女子オープンを優勝した渋野日向子選手、元々は普通の高校を出ており、有名なスポーツ指導者に教わっていません。世界で活躍する選手は、2つのジリツ、自律と自立がしっかり出来ています。

スポーツ指導者は体罰やパワハラで自律と自立が育まれると思っているのでしょうか?学校の教師も会社の上司も本当にそう思っているのでしょうか?

自律と自立は、スポーツの世界だけでなく人生でもとても大事です。

それが暴言や暴力で育まれると本気で思うのなら、ビジネスや教育の第一線から足を洗って、自衛隊員や刑務官にでもなればいいのではないでしょうか。

相手に判断を委ねる指導法が一番の甘え

パワハラや体罰は、見ず知らずの人にやれば単なる暴力なので、警察に通報されます。暴言を吐く、暴力を振るう、誰に対しても犯罪です。

ところが、指導やしつけという言葉が加われば、これらは全部許されます。むしろ、言うことを聞かない奴はそれくらいのことをしていいと容認されるのが現状です。

先日、広島東洋カープの緒方監督が、監督室でとある選手を殴りつけて問題になりました。厳重注意で済むどころか、それくらいのことはしていいとファンやOBから容認されるほど。

よくプロ野球で乱闘があると、子供の教育に良くないという言い出す方がいますが、パワハラや体罰の方がよほど子供の教育に良くないのではないでしょうか。

これらの指導法は、相手に判断を委ねるものです。自らの行為は暴力行為ですから、到底許されません。それを許すのは暴力を振るわれた側です。むしろ相手に甘えながら指導者として生きていられるわけです。

パワハラをしても、本当なら社会不適合者なのに、相手が許すから立派なビジネスマンを名乗れるだけ。だから、私は、パワハラや体罰を振るう人間こそが一番甘いと思っています。

犯罪行為を見逃してくれているのだから、部下や教え子にもっと感謝しないといけません。

パワハラ体質の人間はとても単純で扱いやすい

ここからは私の経験談をお話ししますが、これまでに私が扱いやすく、相手から信頼されやすかったタイプは、パワハラ体質の人間です。

自分の思った通りにいかないと気が済まず、やたらルールが多く、少しでも管理をしようとする人。こういう人はほぼ100%暴言か暴力を、息を吸うように行います。

どの企業にもいるかもしれませんが、実はとても扱いやすい人物であることを私は知ることになります。

やりたいようにやらせれば責任は問われない

以前働いていた職場の上司は、絵に描いたようなパワハラ人間でした。エリアを統括する人物だったので、職場自体は違うのですが、たまに抜き打ちでやってきます。

私自身若かったので至らぬ点ばかり。何回か私も怒鳴られ、高圧的な指導を受けているので、それを避けようと思うわけです。おかげさまで、常に「最悪の想定」を考え、気を抜かない人間になりました。

一方でこの上司、ルールさえ分かっていればとても扱いやすい単純な人でした。上司のやり方で完全に行う、上司のルーティンを踏襲する、これだけで怒られません。

それでダメなら上司自らを否定することになるので、仕方がないと言い出します。自分とは違うやり方をするから怒り出すのであって、自分と同じやり方で失敗したら誰がやっても失敗するとジャッジします。

自分がどれだけ有能なのかという話ですが、この手の人は片田舎の町で四苦八苦せず、言い方は悪いですが、お山の大将として生きていけます。

相手に軽く反抗して軽くマウントをとってもらう

学校の教師もまたパワハラ体質のある人が多く、大学時代の中国語講師もその1人です。私語があればすぐに怒鳴り、気に入らないことがあればすぐに帰る人。

気持ちはわからないでもないですが、ならば、お前が努力して東大とか慶應とかの学校に行けや、難易度がど真ん中なところで教鞭をとってるんじゃねぇ!と今でも思います。

でも、その人もまたなんとも捌きやすい人でした。テスト範囲を言わずに最後の授業を終えようとした時、テスト範囲を尋ねる質問が別の学生から出た時、

「だって聞かれないんだもん、みんな自信があるんだなと思った」と嫌味を全開にして言ってきます。

私は腹が立ち、「じゃあ聞いたら全部答えるんですね?」と詰め寄ると、「まぁそういうことだな」と講師。ちなみに、この講師はバリバリの日本人です。

そこからは腹が立った勢いで質問攻めにして、おかげで中国語の成績は一番上の評価になりました。それが前期の話で、後期になると授業のたびに、講師が私に、「お前また質問はないの?」と言ってきます。

「テストの時だけ聞いてくるよな、お前」と笑われ、周りもつられるように笑います。卒業してだいぶ経ちますが、今でも簡単な自己紹介ができるんですから、相当真剣に取り組んでいたんでしょう。

扱いやすいし、成績は一番上だし、扱いきれれば最高です。

パワハラや体罰を振りかざす指導者は成長させてくれない

私の経験談から言えるのは、パワハラなどを行う人間は本当に扱いやすいということ。関係性を作ってから少し反抗しても、抜けているところを見せちゃえば愛おしく感じるようです。

申し訳ないですが、そうした人たちに心から敬意を表することは一度もなく、むしろ軽蔑していました。それでも扱いさえマスターすればその世界ではやっていけます。

でも、そんな場所で成長できるの?と思いませんか?そうです、成長はしません。パワハラ体質の人たちは成長させてくれません。だって、自分のやり方でやらないと気が済まないんだから。

自律も自立も育むことはないわけで、指示待ち人間がたくさん出てきて当然です。日本人に指示待ち人間が多い理由は、パワハラや体罰を条件付きで容認する日本人の気質に原因があります。

しかしながら、安定した生活を過ごせるようになります。ぎゃあぎゃあ騒ぐ上司の言う通りに行動すればよく、頭を使えとか足で稼げと言われればそうすればいいわけです。

だから、部活動の指導をする教師やスポーツ指導者は、そのことを念頭に置いて指導をしているのかもしれません。

高校野球や高校サッカーの指導者などは、プロに進ませるためではなく、あくまでも教え子が路頭に迷わないよう、親の気持ちでパワハラを行い、どんな環境でも生きられるようにしてるのではないでしょうか?

なので、プロにさせたい親御さんは、お子さんを部活動なんかに入れず、プロの指導者に任せた方がいいです。

まとめ

なぜ子供に部活動をさせるのか、よくわかる気がします。私が体育会系の部活に所属した期間はわずかだったので、こんな斜に構えた大人になったんだと思います。

体育会系の部活に入って、まるで軍隊のような指導を受けて、上司の言うことは絶対だと学ぶようにしておけば、食うことには困りません。幸せも勝ち取れるし、子供や孫にも恵まれるでしょう。

大成功はしませんが、大失敗もない、平凡な生き方をしたいならパワハラは早いうちに経験しましょう。私は多様性のある人生を大事にしたいので、大失敗な生き方を一人歩ませていただきます。

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